GA4の標準レポートにデフォルト表示されている「ページとスクリーン」レポートと「ランディング ページ」レポートの違いについて解説する。というのもネット上にある解説記事のどれもが間違っており、書いている本人が理解していておらずデタラメといってもいい情報が検索結果に表示されているため。

本質的に理解すべきなのは「スコープ」の違い

GA4のレポートにはすべて「スコープ」が適用されており、そのスコープに基づいてデータが集計されている。スコープとはデータの集計範囲のことで、大きく分けて、「ユーザースコープ」「セッションスコープ」「イベントスコープ」に分類することができる。「ページとスクリーン」レポートは「イベントスコープ」であり、「ランディング ページ」レポートは「セッションスコープ」で集計されている。この違いこそが、「ページとスクリーン」レポートと「ランディング ページ」レポートの違いとなる。

「ランディング ページ」レポートのよく見られる誤った理解

ネット上に散見される「ランディング ページ」レポートの誤った解説として、「ランディングページは、Webサイトやアプリに最初に訪れたページに限定したデータを収集します。つまり最初のページに特化してレポートを表示したレポートになります」といった解説がみられるが、これは明確に間違いである。なぜなら、これではセッションスコープではなく、イベントスコープのレポートになってしまうから。これは書いている本人が「スコープ」の理解がないため、このようなデタラメな内容の記事が書けてしまうのだろう。

「イベントスコープ」である「ページとスクリーン」レポート

当記事では「スコープ」について詳細な解説は省略するが、「ページとスクリーン」レポートが「イベントスコープ」に基づいて集計されている点について簡単に解説する。イベントスコープに基づく集計とは、GA4の最小の集計単位であるイベントに紐づく情報ごとに集計された結果がイベントスコープとなる。そのため、集計範囲はセッションスコープやユーザースコープと異なり、時間軸としての範囲が適用されていないのがイベントスコープとなる。ただ、もちろんイベントスコープをセッションスコープとユーザースコープと組み合わせることもできるが、ここではその解説は省略する。

「ページとスクリーン」レポートはイベントスコープで集計されているため、データの集計結果はそのイベントに直接紐付くことになる。これが「ランディング ページ」レポートでは、「セッションスコープ」のレポートなので、セッションの開始となったページにデータの集計結果が紐付く。これが、「ページとスクリーン」レポートと「ランディング ページ」レポートで同じ指標でも値が異なる理由となっている。これについて、「スコープ」の理解がないとなぜ値が違うんだと疑問に感じる理由ともなっている。

「セッションスコープ」である「ランディング ページ」レポート

「ランディング ページ」レポートは「セッションスコープ」による集計結果がレポートに表示されている。では、「セッションスコープ」による集計とはいったい何のか？という質問ついて簡潔明瞭に回答すると、「セッションスコープ」とは、そのセッションの最初に特定された情報（例えば、参照元情報やランディングページ）をディメンションとする集計方法である。そして、スコープ、ここではセッションスコープの集計結果をディメンションに紐付けることを「セッションスコープ」という。これが「セッションスコープ」の明確な回答になる。そのため、「ランディング ページ」レポートとは、そのセッションに最初に着地したページのみのデータを表示したレポートではなく、そのセッションのデータの集約結果をランディング ページに紐付けた結果を表示させたのが「ランディング ページ」レポートとなる。ゆえに、「ランディング ページ」レポートと「ページとスクリーン」レポートでは同じ指標を並べた場合でも値が異なることになる。なので、スコープをまず理解していないと、この2つのレポートの違いが分からなくなる原因となっているので、まず何よりもスコープの違いを理解することがGA4の理解において重要なポイントとなる。

より使いやすく高度な分析が可能な「ランディング ページ」レポート

GA4の標準レポートにある「ランディング ページ」レポートではUI的にも使いにくく、モニタリング・分析レポートとしても柔軟性に欠け使いにくいと言わざるを得ない。これは、GA4がそもそもそれ単体で完結するようなツールとして提供されていないという理由もあり、この制限を撤廃するのであればBigQueryとLookerStudioを活用するのことがベストプラクティスとなる。その最高峰といえるレポートは私が作成しており、noteにて公開しているので興味がある方は活用して頂きたい。