Visual SEM Report

Looker Studio × BigQuery で実現する
SEO分析ダッシュボード

Googleが無料で提供しているLooker Studioを活用すれば、もう高額なSEO分析ツールは必要ありません。また「検索順位チェックツール」も有料ツールは必要ありません。なぜならLooker Studioですべて実現できるからです。

『Visual SEM Report』は現在進行形で進化を遂げているダッシュボードになります。現状はデータソース元をSearch Consoleに限定していますが、GA4のレポートも随時追加していく予定でいます。Search ConsoleとGA4はどう違うのかを簡単に言えば、Search ConsoleはGoogle検索結果への露出結果とサイトに流入するまでが担当分野になり、GA4はサイトに流入したあとのユーザー行動を追跡する違いがあります。つまりは、WEBサイトを運営する中ではGA4に焦点を当てられがちになりますが、Google検索結果への露出結果のデータを持つSearch Consoleの方が順番的にも先になりますし、SEOの分析にも直接的に関係してくるのはSearch Consoleのデータを活用したレポートとなります。

レポートとダッシュボードの違い

以下、文章の中で「レポート」と「ダッシュボード」の用語を使い分けていますが、特に明確な意味を持って使い分けてはいません。そのため、多くの場合そのどちらかを当て替えて読み替えても問題ありません。ただ、本来は重複する意味を持つこともあれば、片方の用語にしか持たない意味があります。ここでは私が定義する「ダッシュボード」と「レポート」の違いを解説します。

「ダッシュボード」という用語が使われることは多々ありますが、実際にはダッシュボードの体を成していないことが多いです。ダッシュボードとは簡単に言ってしまえば、個々のレポート群をまとめたものでユーザーのインタラクションにより連動する動きを持つレポートのことをダッシュボードと呼びます。「レポート」はそのダッシュボードの元になる位置付けになります。

ダッシュボードの作成では、ただレポートをまとめればよいのではなく、目的が限定的なレポートよりもダッシュボードは包括的になり、どのような機能性を持たせるのかが重要になります。またユーザービリティに関しても十分に考慮する必要があります。

「Visual SEM Report」でもダッシュボードを付けていますが、こと分析においては他社で販売されているレポートとは一線を画す存在感となっています。つまりはレポートを横断することなく、1枚のダッシュボードで全体の把握からドリルダウンした分析まで一気通貫して読み解くことができることができるのです。

なぜLooker Studioを採用するのか?

Looker StudioはGoogleが提供するBIツールであり、他にも有名なBIツールは多くありますが、Looker Studioを使用する理由について解説します。

まずなんといっても全機能が無料で永続的に使用することができるという点にあります。これが最大のメリットといってもよいです。他には例を出すとBIツールで有名なツールとしてはTableauが挙げられますが、無料ではないため、費用対効果を考慮するとあまりサイト規模が大きくないサイトではツールの使用料で利益を圧迫してしまうため導入に慎重に成らざるを得ません。まして個人運営のブログでは選択肢にも入ることはないでしょう。BIツール使用料の方がサイトの売り上げよりも上回ってしまうのは本末転倒だからです。

トラフィック規模が十分に大きいサイトでは、Tableauが採用されている現場もあります。ただその場合でも十分にTableauの機能を使いこなせているとは言えない現場が多く、そのようなビジュアライズであればLooker Studioでも代替可能といえることが多いです。現時点ではまだLooker StudioよりもTableauの方が機能面では軍配が上がると思いますが、代替可能であればLooker StudioをメインのBIツールとして使用することに全く問題はないでしょう。

有料のExcelベースのレポーティングツールのデメリット

Excelを使用したレポートの構築方法はGoogle広告などの媒体から出力されたRawデータをExcelの参照元として貼り付け、それを参照する形でレポートを作成する流れとなります。この方法の大きなデメリットとしては、まずそもそもBIツールとExcelは全く異なる目的で使用されるツールであるということです。これまで多くの現場でExcelがレポーティングツールとして使われてきたにせよ、レポーティングツールとしてExcelを無理やり使ってきた一面があるように感じます。Excelでデータを可視化するにあたって、Rawデータを参照すること自体が人的ミスを発生させやすく、またExcelのテンプレートに予め埋め込まれている参照式にミスがあったりと、多くの事故を誘発させやすい仕組みの上でレポーティングすること自体に大きな欠陥があったと言えるでしょう。このようなRawデータを参照するレポートを使ったことがありますが、そもそもテンプレートに埋め込まれている参照式に間違いがあったりするくらいなので、非常にミスが起こりやすいレポーティング手法だといえます。

Looker StudioのようなBIツールはExcelのようなRawデータを落としてくるという概念とは全くことなります。データが格納されたテーブルをSQLを通して読み込むため、Excelの参照式のようにバグが入り込む心配はなくなるからです。

API連携とBigQuery連携の違い

当ダッシュボードは一部はBigQueryからテーブルを読み込んで作成しているものもありますが、API連携で作成しているものがほとんどになります。ですが近いうちに全てのレポートをSQLで読み込む形にアップデートする予定でいます。API連携のメリットはお手軽さです。既に必要な設定が済んでいるため、Search Console・GA4などデータソースから選択すれば、ディメンション・指標が取り込まれレポートの作成を進めることができます。ですが、簡易的なレポートでよいのであればAPI連携でも問題ないのですが、より高度なレポートの作成ではAPI連携の下記のような制限によりBigQuery連携へと切り替える必要が出てきます。

  • データの抽出期間の制限
    Search Consoleではデータの保持期間が最大16ヶ月間であるため、それ以上の期間を用いて分析する際に不都合が生じます。実際のところ16ヶ月間という期間は昨対年比も求められないため少し短いといえるでしょう。GA4ではLooker Studioと連携する限りにおいては期間の制限は受けません。

  • レスポンスの応答時間
    API連携ではデータ量が多くなるほどにレスポンスの反応が遅くなります。よくLooker Studioは反応が遅いなどの意見を見聞きしますが、これはLooker Studio自体が遅いわけではなく、API連携しているためレスポンスが遅くなっているのです。特に実際のカラムが多いGA4とAPIで接続した場合、大規模サイトでもない月間訪問者数が数万程度でもかなりレスポンスが遅くなります。レポートの表示やコントロールによる操作で表示速度がままらないと、レポートそのものが使われなくなる原因となります。

  • ビジュアライズ表現の制限
    API連携で取り込まれたディメンション・指標は全てがGA4であれば取得できるのではなく一部取り込まれないものがあります。また、指標の集計方法の変更は不可となり、指標のディメンションへの切り替えも行えません。また、そもそもGA4自体に備わっている指標だけでは十分な分析が行えません。例えば「エンゲーメント率」はそれ自体はユーザーのエンゲージメントを計測するにあたって有効な指標となりますが、この単体の指標だけでは十分な分析を実行することは難しいといえるからです。

  • セグメントが切れない
    24年03月の現時点はGA4で作成したセグメントをLooker Studioに取り込むことはできず、Looker Studio側で独自にセグメントを作成することもできません。UAでは可能だったため、今後セグメントを取り込むこともできるようになるかもしれませんが、セグメント自体はGA4側で管理しておくものであるため、それを削除してしまった場合、Looker Studio側でも接続が切れてしまうため、管理的にもセグメントを取り込むというのはあまりデータガバナンス的にもよくないといえます。

  • サンプリング規制がかかる
    最終的に抽出されるデータはGA4のレポート・API共にデータの欠損は免れないことが分かります。実際に、Looker StudioでAPI接続でレポートを作成してみると、データの表示が明らかに不備があることに気付きます。
    参考:[GA4] レポート サーフェスの比較 – アナリティクスヘルプ

「探索レポート」はレポーティングとして使えないのか?

Looker StudioとBigQueryを組み合わせたレポーティングの凄さを知らない人の中には、特にGA4に備わっている「探索レポート」を代用すればよいと考える人が多いようです。ですが、探索レポートはモニタリング・分析レポートに取って代われる代物ではありません。レポートの共有としても不向きです。探索レポートはそもそも、その場限りのアドホック的な使い方をするものであるからです。GA4の解説本では今のところBigQueryを本格的に取り扱った書籍はまだなく、GA4の管理画面を中心とした解説で占められているので、読み手側としてGA4に備わっているレポートや探索機能を活用することに対して重点を置いてしまいがちです。ですが、GA4はそもそもBigQueryと連携して活用することが前提の設計思想としてあるため、GA4を解説した書籍の内容とGoogleが置いているGA4の立ち位置との乖離を感じざるを得ません。このような前提があるゆえ、GA4の中でレポーティングや分析を本格的に実施しGA4の中だけで完結させることが、そもそもGA4の役割として担っていないため、管理画面の中だけでレポーティングや高度な分析を実施することに無理が生じてしまうのです。

早いタイミングでBigQueryへのエクスポートが望ましい

以上のことを踏まえれば、できるだけ早いタイミングでSearch Console・GA4のデータをBigQueryへエクスポートすべきです。なぜならデータの活用はBigQueryにエクスポートした時点が開始日となり、過去に遡ってデータをエクスポートすることはできないからです。BigQueryにエクスポートする手順は非常に簡単です。BigQueryがGoogle Cloud Platform(GCP)の一部であることからGCPをまず開設する必要がありますが、GCPの解説自体も簡単なため、手順などはネットで検索し分かり易い解説記事を参考にして進めてください。当ブログでもおいおい手順解説記事も拡充していく予定です。

参考:Search Console データを BigQuery にエクスポートする -Search Consoleヘルプ
参考:[GA4] BigQuery Export のセットアップ -アナリティクスヘルプ

Visual SEM Reportは他のテンプレートとどう違うのか?

Looker Studioのテンプレートを販売しているところは他にもありますが、Visual SEM Reportは私自身が15年以上の経験をもとに実務で必要なレポートを自身のために作成してきたものを提供しています。そのため、無駄がなく必要最低限で多くの知見が得られるように設計してあり、Looker Studioのダッシュボードでこれほど高度な分析を可能にしているレポートは他にはないでしょう。

また、Visual SEM Reportはまだ完成形ではなく定期的なアップデートを行っています。さらに高度な分析を取り入れることができるよう見直しを常にかけています。具体的には現状はまだSearch Consoleのデータソースのみで構成されていますが、近いうちにGA4のデータもVisual SEM Reportに取り込み、検索結果からの流入から、サイト内のユーザー行動までを一貫して可視化できるデータビジュアライズレポートの完成を目指しています。既にGA4のレポートは多く作成しており、GA4の管理画面ではできないような分析を可能にするSQLをストックしてあります。

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