ユニバーサルアナリティクスの提供が24年7月に終了し、否応なしにアップデート版であるGA4に移行することが余儀なくされた。もちろんGA4がリリースされたのは20年10月であったため十分な猶予期間が与えられてはいたが、GA4を使いこなすためのスキルのアップデートまで済ますことができたというユーザーはあまりいないだろう。本書の対象者はまさにこのユーザーに対象者を限定しており、GA4をさらに使いこなすための最初の手引書として推薦できる。
GA4を使いこなすにはBigQueryは必須
「GA4を使いこなすには」BigQueryは必須ということであり、必ずしもすべてのGA4ユーザーにとってBigQueryの使用が強制されているわけではない。「使いこなす」にはやはりそれ相応の正しい知識と理解が必要であり、またそこに到達するまでのスキルセットを得るハードルは高いといえる。「スキルセット」と言ったのはBigQueryだけを理解できればよいということではないためだ。ざっと必要な知識を挙げると、GA4・SQL・RDBMSのテーブル設計の基本理解・プログラミングの基本理解・Looker Studio・データビジュアライズ・Google Tag Manager・BigQuery等。そして何よりもWEB解析の分析視点がなければ何も積み上がらないため、最も最初に手を付けるべきなのはWEB解析を行う上での分析視点を養うことだと私は思う。これなしにSQLだ、GA4だといっても意味のあるアウトプットが出てくるとは想定思えない。
そのため、上記で挙げたように使いこなすためのハードルが高すぎるがゆえBigQueryの導入は必ずしもGA4の利用に必須ではないといえる。ただ、GA4のデータをBigQueryにエクスポートしておく処理だけは今後のために早めにしておくことをお勧めする。
なぜGA4を使いこなすにはBigQueryが必須なのか
「理由が分からなければ学ぶ気になれない」BigQuery・SQLがWEB解析の現場で浸透しない理由はこれではないのか?一般的なGA4利用ユーザーであれば、BigQuery・SQLを学習してる時点で相当稀な人であるが、憂慮すべきなのはスキルを提供する側がSQLを身に付けていないことである。また、最低限、必要性については理解しておくべきだがその認識すらない。頑なに頑固に学ぼうとすることを拒否する。
GA4はデフォルトで備わっている標準レポートや探索のみでは、分析できることに限界がある。逆にこの制限の中だけで十分だということであれば、BigQueryとLooker Studioを連携して可視化する必要もない。この制限を超えた分析をするためにBigQueryは必須だということ。逆に、デフォルトの指標のみでどう分析するのか?分析できるとは到底思えない。このイメージがそもそもないから、BigQuery・SQLの必要性を感じないといったところだろう。
GA4を使いこなすための最初のSQLの指南書として最適
正直なところ、本書の内容を理解してもまだまだ必要十分だとはいえない。実際の実務だと本書の範囲外のことを多く活用することが多い。しかしながら、入門書ということであれば、その範囲外のことまで含まれていないことは当然であり、また最初から細かいことを学習する必要もないだろう。その意味で本書の解説範囲はSQLの基本から丁寧に解説がされているため、途中で挫折することもなく読了することができる構成になっている。先にも述べたように学習の順番的にはまずWEB分析をする上での視点を持つことから始めた方がよいと思うが、そもそも本書を手に取るか検討している段階である程度、GA4も含めて経験がある人が多いだろう。そのため、これからGA4を使いこなす上でBigQueryを念頭に入れたSQLの学習を始めたいといったニーズには十分に答えられるといってよい。